熊本店
ブログ *担当者Kがめがねに関することを好きに書いてますφ( ̄ー ̄ )
昔のめがねはなぜ丸い?
2025-09-28
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NHK朝のテレビ小説「あんぱん」もとうとう最終話を迎えてしまいました。「アンパンマン」の作者である、やなせたかし先生を北村匠海さんが演じたドラマでしたが、作中での北村さんが掛けるメガネが劇中の時代とともに変化していく事にも注目して見ていました。戦前~戦後期は黒ぶちの丸メガネ、高度経済成長期にはブラウン系グラデーションのセルフレーム、その後は黒いスクエアのセルフレーム、最後は我々がイメージするやなせたかし先生のトレードマークとも言えるカラーレンズのツーブリフレームへと変遷していきます。当ブログ担当者K的には高度経済成長期に掛けているメガネ(某有名ブランドの現行品)のレンズシェイプが現代風で冷めてしまうのですが、一緒に見ている家族に話しても絶対に伝わらないので「この時代のメガネにこのシェイプはね~から!」と心の中で静かに叫んでおります。
さて話が脱線してしまいましたが、今回のテーマは「昔のめがねはなぜ丸い?」です。今でこそレンズシェイプはボストン、ウェリントン、オーバル、フォックス、ヘキサゴン、クラウンパント…と、様々なかたちのメガネを選べるようになりましたが、ある時期までメガネは丸いデザインのものしか存在しませんでした。それこそ「あんぱん」や前々回に紹介した「風立ちぬ」の主人公が掛けているメガネそのものです。そもそもメガネは13世紀ごろのイタリアで作られたと言われておりますが、そこからかなり長い間メガネと言えば丸メガネ(若しくは楕円)で、現在のようにデザインに多様性が表れるのは20世紀になってからでした。主な理由としては技術的な点にあったと思われます。ガラスを研磨して作るレンズは基本的に「円形」に削るのが効率的であり一般的でもありました。フレームにはめ込む際も原型に近い丸い形に加工することが構造上、理にかなっていたからだと推測されます。丸メガネ以外のレンズシェイプが登場するのは欧米では20世紀初頭の1910年代、日本では戦後の1940年代後半まで待たなければなりませんでした。
丸いメガネがトレードマークの有名人と言えばサイレント時代のスーパースター、ハロルド・ロイドでしょう。ただしロイドも最初からメガネキャラだった訳ではなく、同時代の喜劇王チャールズ・チャップリンが燕尾服にちょび髭、バスター・キートンは現在のトム・クルーズやジャッキー・チェンの始祖とも言える身体を張ったアクションで人気を博していたことに対し、存在感が希薄なロイドのイメージづくりのメガネだったと晩年のインタビューで語っています。
何せサイレント映画期に活躍した人なので、ハロルド・ロイドの映画をリアルタイムで観た方はそれほど多くないと思いますが、彼のメガネが与えた影響のひとつに日本では(主にセルロイドの)丸メガネを“ロイドメガネ”と称することが定着していました。近年では丸メガネをラウンドと呼ぶことが多く、ロイドメガネの呼称は廃れつつありますが担当者Kがこの業界に入ったばかりの頃の先輩社員の方々は皆さん一様に丸メガネをロイドメガネと言っておられました。ハロルド・ロイドとセルロイドのダブルミーニングが語源らしいですがメタルフレームでも丸ければロイドと呼ばれる傾向もあったりします。因みにこの名称は日本だけのものでアメリカ人に“Lloid Glasses”といっても通じないのでご注意を
他にも映画「ラストエンペラー」で初めてメガネを掛けることになった若き皇帝、溥儀が「ハロルド・ロイドみたいだね」と喜ぶ台詞もあったり、ロイドの丸メガネが後年に与えた影響は計り知れないものがあります。



